フリーランスになるにあたっての金銭的の注意点

これは広く知られていることですが、アニメーターというのは長らくフリーランスから業界入りするため、社員を経験することがほとんどありません。
もちろんこれはアニメーター、アニメ業界に限ったことではなく、クリエイターやプログラマー、ミュージシャンなど、色んな業種が抱えている問題ではありません。

アニメ業界に限って言えば2025年前後から、深刻な人手不足によるアニメーターや演出の社員化が加速しました。
理由はスタッフの囲い込みと若手の育成のためです。フリーランスばかり頼ってはいられなくなってきました。

その背景にはこの人手不足の状況かでもアニメの制作本数は減るどころか、増えていることに関係しています。
テレビのみならず、独占配信やゲームでもアニメがたくさん作られています。しかも単価はテレビシリーズより良い傾向にあるゆえ、そちらに大量の人が流れていきます。

社員は給与の安定や社会地位の信用度といったメリットがたくさんあります。
ただ、アニメーターの多くはいろんな作品に参加したいという欲を持つ者が大勢います。
そうなれば社員よりもフリーランスのが魅力的に感じてきます。
フリーランスは仕事を選ぶ自由もあるし、頑張り次第で社員より稼ぐことも出来ます。

社員からフリーランスになると決めたのはいいのですが、実は気を付けなければならない金銭面の落とし穴がいっぱいあります。
今回はそういった方に向けて紹介したいと思います。もちろんすでにフリーでも参考になるところもあると思いますので、よろしくお願いいたします。

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報酬の受け取るタイミング

社員の場合、働いた月のうちに給与を受け取れるのが一般的です。
例えば4月入社して4月の最終営業日まで勤め上げてなくても、4月25日前後に給与が支払われたりします。
すぐにお金がもらえます。

しかしフリーランスの場合は請求書を出した後、支払われるまで一か月以上かかることがほとんどです。
このようなケースがアニメ業界では多く見られます。例えば、
・4月中に作業を終える
・請求書は月頭、月中に提出しても月末締めと扱われる
・支払いは翌月末(5月末)、翌々月頭(6月上旬~中旬)

作業の終了タイミングによっては最悪2か月以上のタイムラグが発生します。
例えば5月上旬に作業を終えても、請求書は5月末に締められ、7月の中旬支払われることもあり得ます。
フリーになりたての時期が無給になりますので、生活費の確保が必要です。

そのため、仕事と報酬の管理が非常に難しいです。
しかも予想外のスケジュールの遅れなどで請求できるタイミングがズレこむことも多々あります。
その場合はその会社と相談して先に請求書を出させてもらうことも可能ですが、請求書を出した以上は最後まで責任をもって仕事を全おうとしなければならないので、普通にストレスです。

支払いのタイミングは会社によってまちまちなので、困らないように事前に支払いのシステムを聞くとよいでしょう。

具体的に
・請求書提出の期限
・請求の締め日から起算した支払い日
この2つが分かればOKです。
あとは家賃、光熱費、クレジットカードなどの支払い日がいつなのかも把握しておくといいでしょう。

鈴
鈴

過去に何回かクレジットカードとローンの支払いを滞納してしまったことがありますが、慌てずに口座にお金を入れれば何とかお咎めなしで済みました( ̄▽ ̄;)

税金関連

住民税のまとめ払い

通常、会社員は2年目から住民税を払うようになります。
基本的に前年度の所得より計算された額を12分割して、今年度の6月から翌年の5月まで毎月給与から天引きされます。

しかし支払いの途中で社員を辞めたら、残っている未払い分は(辞める時期によるが)
・会社が一括で徴収する(給与から引かれる)
・自分で払う(支払請求書が届く)

時期によっては支払いが苦しくなることがありますので、首が回らなくならないように事前に調べることをお勧めします

鈴
鈴

詳しく知りたい方はご自身で調べてみてください( ´∀` )

これ初めて知ったときは絶望しました。その後の生活費がかなりギリギリでした。

所得税に関しては通常は給与からの天引きは前払いなので、住民税のように請求されることはありません。
フリーランスは報酬を受け取るとき、取引先より一律で源泉徴収されます。

その年度の正確な所得税額は、翌年に確定申告をして初めて決まるのです。
① 源泉徴収総額 > 所得税額 ⇒ 還付金
② 源泉徴収総額 < 所得税額 ⇒ 追加納税
となります。

多くの方は①のケースに当たりますので、還付金を受け取ることがあります。
還付金を多く受け取るにはきちんと経費を申告することです。経費の額が大きければ大きいほど、その年度の課税される所得額(受け取る報酬の総額-経費)が低く抑えられ、税金が低くなります。

予定納税

これは一定の稼ぎを超えたときにいきなりこんにちはしてくる厄介者です。
2026年にいきなりやってきてびっくりしました。

ある種の税金先払いです。ふるさと納税も先払いです。
一応返礼品をもらえるので、見返りがあります。

しかし予定納税というのはただただ早く税金を徴収されるだけです。
まだ稼いでいないお金の所得税を払え、ということになります。ヤクザかよ

前年度の所得を基に、今年度の所得を予想くして、いち早く絞り出そうとする制度です。
源泉徴収はまだ理解できますが、これに関してはもはやドロボーに近いです。

2025年はいっぱい頑張ったので所得はかなり増えたが、2026年はなぜか手元のお金があまり増えたと感じられませんでした。
むしろ減った?とさえ感じました。そのせいで支払いの滞納が発生しました。

一応申請すれば免除か減額できるようですが、それはそれで一手間です。はい、めんどくさいです。

金額にもよりますが、支払いは1~2回に分割されます。
余裕がなさそうでしたら免除か減額を申請してみてください。

健康保険料、年金

会社員の時は給与から引かれていた保険料と年金が自分で納付しなければならなくなります。

まずは健康保険

通常、会社員は健康保険組合の保険に入っているため、
① 国民健康保険に切り替える
② 任意継続
の2つの選択肢があります。各自の状況によって金額が違い、安いほうを選ぶと良いでしょう。
家族構成によっては①より②のほうが保険料が安くなります。

扶養家族、特にお子さんががいる場合は②の任意継続を選ぶと安く抑えられることがあります。
扶養の概念がないため、たとえ生まれたての赤ちゃんでも保険料を払わなければなりません。

どちらを選べばいいかはシミュレーションしてみて決めてください。
注意点としては任意継続は自分で申請する必要があり、かつ2年が限度です。

国民健康保険のほか、アニメ業界なら文芸美術国民健康保険組合という選択肢もあります(NAFCAから加入できます)。
ただし加入条件があり、会費を払って組合に入っていることが必須のところが多いです。その総額を計算して比べる必要がります。

鈴
鈴

ちょっとややこしいですが、ちゃんと計算しましょう(;・∀・)

むかし、保険料が月数千円の時期がありましたね…
これは喜んでいいのか?(笑)

次は年金

厚生年金の2階建てから国民年金の1階建てボロ屋になります(笑)

厚生年金は所得によって変わりますが、国民年金は一律定額になるので、基本的に安くなると思いますが、扶養家族がある場合は要注意。
国民年金も扶養という概念がないため、厚生年金で配偶者が扶養に入っていた場合、配偶者も自身の国民年金を払わなければならなくなります。

厚生年金は外れるとすこし痛いところがありますね。

すずめ
すずめ

将来もらえるかもわからないのに…(-_-;)

実は免除が可能なケースがある

これはその時の各々の状況によりますが、全額免除もしくは一部を減免にしてもらうことが可能です。
「年金 健康保険 免除」で検索すればたくさん参考になるサイトがあるので、条件に当てはまるかをご確認ください。

鈴
鈴

恥ずかしながら、過去に減免にしてもらったことがありますよ。
生活が苦しいなら申請してみましょう。

雇用保険

フリーランスになると、雇用関係がはなくなるため、雇用保険が外れますので、払う必要はなくなります。
払う必要はなくなりますが、当然万が一何かあって働くことが困難になった時、収入がなくなる心配があります。

心配であれば、個人で入れる収入保障型の保険という手もありますが、たくさんの商品があるのでぼったくりかどうか、見極める必要があります。
独身ならあまり必要がないと思いますが、家庭を持っている方、特にお子さんがいらっしゃる場合は検討してもいいかもしれません。

保険代理店もたくさんあるし、その中でも様々な営業人がいるので、おすすめはありませんが、アドバイスとしてはいったんアポ取って話を聞いてみることです。
・ちゃんとメリットとデメリットを教えてくれるか
・今と将来のニーズについてちゃんとヒアリングしてくるか
・紹介する商品がちゃんとニーズに合うかどうか
・やたら投資商品や高額な掛け金を進めてこないか
・不安を煽ってこないか など

成果報酬型の営業人が多いから、やはり売ることを優先する人が多い印象です。
ちゃんと話したことを覚えてくれるとか、話してて合うかどうかの肌感など、実際に会って話してみないと分からないと思いますので、焦らずに慎重に選びましょう。

労使折半

社会保険料について触れてきましたが、ひとつ重要だけど忘れがちなのは社員はこれらの社会保険料の半分くらいは会社が負担してくれています。
その中でも労災保険は会社が全負担しています。これもフリーランスでは入れないものです。

そのため、社員を辞めたら重くのしかかってくると思いますので、きちんとそれぞれの金額をある程度把握しておくと良いでしょう。

確定申告

会社員であるうちは年末の前に、「年末調整」というのをやります。
簡単にいうと、確定申告をしてくれます。

ただし、株やふるさと納税などをする場合は年末調整の上に確定申告もしなければなりません。

これは学校などでは教えてくれないので、最初は入力項目がたくさんあってややこしく感じるかもしれませんが、実は慣れてしまえばどうってことはありません。
後述の「青色申告」のところでもうすこし詳しく説明しますので、ここでは割愛します。

確定申告はそもそもどういったものなのかがそもそも分からない方は下記のサイトを読んでみてください

経費

フリーランスの最大の武器と言えるのが経費です。

よく勘違いされるのは収入と取得です。
収入は仕事や事業によって入ってくる金額の合計です。

雇用形態収入所得
会社員年収総額収入 - 各種の控除
フリーランス売り上げ/請求額収入 -各種の控除 - 必要経費
※手取りや実際に振り込まれる金額は収入から源泉徴収税を引かれているので、数字がまた異なります

上記の表からもわかるように、フリーランスの所得は必要経費を引ける分、所得の金額を低く抑えられます。
所得を抑えるメリットは
・所得税/住民税が低くなる
・健康保険料が低くなる
・年金が免除/部分免除できる可能性がある
・所得制限に引っかからなくなる

要するに節税できます。

何を経費にできるかできないかは結構認識のズレがあったりするのですが、基本的に仕事に関係する支払いなら経費として計上できます。

詳しく知りたい方は下記のサイトや動画を見ることをお勧めします

最低でも請求書、通帳、領収証(レシート)の管理をしておけば、節税できる金額は少ないですが、還付金を増やせることができます。
MAXで節税したなら是非のちに説明する「青色申告」をやりましょう。

青色申告をしよう

個人事業主のメリットを最大限に活かしたいのであれば、これは必ずやりましょう。

一番簡単な方法は各自治体にある「青色申告会」に足を運び、相談することです。開業の手続きもそこでできると思います。
年会費はかかりますが、やり方や帳簿つけのソフトも貸してくれるので、初心者におすすめです。
やり方さえ覚えてしまえば、あとは自分でできるため、退会してしまってもOKです。

ただ、相談できる職員は専属ではないため、細かい相談はできません。
細かくやりたい方は税理士に頼むといいでしょう。金額はピンキリですが、周りに聞いた話では10万前後が多い印象です。

もしくは自分のようななんでも自分でやってしまいたい人なら、AIを使ってツールを作成してみるのもいいかもでしれません。

それと注意していただきたいところですが、確定申告は提出して、還付金が戻ってきたからOKというわけではありません。
モヤモヤする話ですが、のちに税務署からチェックが入ってさかのぼって数年前の処理に不備があったなんてこともあるので、基本的に正確に正直に申告するようにしましょう。

適格請求書等保存方式

いわゆる「インボイス制度」です。
2023年10月以降に導入されました。

当時は…いや、今でも大ブーイングされている制度です。
簡単にいうと、
・(前々事業年度の)年間売り上げが1000万円以下の事業者は免税事業者となり、受け取った消費税を払わなくてもよかった
・これまでは請求書を提出するときに消費税を請求出来ていた
 例:20万円の受注額に10%の消費税の場合、プラス2万円を得られていた
・導入後はインボイス登録をし、登録番号を記載されたインボイスを発行しなければ消費税を請求できなくなった
・しかし売り上げが1000万円以下の事業者はインボイス登録番号をゲットできない
・実質消費税がもらえなくなる、所得が減る
本来売り上げが少ない事業者の救済となるはずの免税事業者が一転して意味がなくなった。

すずめ
すずめ

じゃ消費税ではなく、普通にその額を報酬として払えばよいんじゃないの?

鈴
鈴

そうすると支払う側は消費税を経費として計上できなくなるから、実質的に損となります。

それでも通常通りに消費税を請求していいよという会社があります。これは実質の値上げになるので、申し訳なく思いつつも、ありがたいです。

なので、報酬の確認の時はインボイスについて確認しておくとトラブルを回避できます。
それによって単価の設定を見直すといいでしょう。

早く廃止してくれないのかな…

消費税

上記のインボイスとも関連していますが、課税売上が1000万円を超えないならあまり考えなくてもよいと思います。

もし超えるようなことがあれば、税理士を雇った方がよいと思います(笑)

まとめ

お金を稼ぐのは大変です。だから手に入る額はできるだけ増やしたいものです。

フリーランスは仕事面で自由にできる一方で、様々なところで金銭面の問題が起きます。

フリーは会社員の1.5~2倍は稼がないといけないとよく言われてました。
入る金額は増えますが、出ていくのもいっぱいあるので、不意打ちに合わないようにある程度は知っておいた方がよいと思います。

私はお金のプロではないので、詳しく知りたい方は是非青色申告会か税理士に尋ねると良いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!