映像を撮るときはレンズが必要不可欠な道具です。
たとえアニメのように実際にカメラを使って撮っていなくても、レンズの知識が必要です。
レンズの種類とそれぞれの特色を掴むことで、思い通りのフレーミングができ、より意図を視聴者に伝えることができます。
心理効果や目線の誘導、情報のコントロールが上手くできるようになります。
レンズの種類
一眼レフカメラを触ったことがある人は最近なかなかいないと思います。
今、写真といえば、スマホで撮ることがほとんどではないでしょうか?
アニメでレンズを聞くと、大体広角か望遠、たまには魚眼レンズを思い浮かぶでしょう。
なんとなくそれぞれの違いもわかると思います。
本来それぞれは単体のレンズとして存在します。用途に合わせてカメラにセットするレンズを変えて撮影するものです。
しかし、普段一眼レフカメラ写真を撮る時、多くの人はズームレンズというものを使っているでしょう。
その理由は単焦点レンズを変える手間と物理的に重いからです。
そのため、広角から望遠まである程度カバーするズームレンズが便利です。
もちろんズームに頼りすぎないで、自分から移動してベストなポジションを探すことも重要です。
一般的に単焦点レンズの方が取り込む光量が多いから綺麗に写真が撮れると思います(詳しくは覚えていないw)
詳しくレンズについて知りたい方は一眼レフカメラを買って試すのもよし(高いけど)
カメラの本を読むのもいいでしょう。
使うレンズの決め方
動画を撮るカメラももちろんレンズがあるので、基本的に要領は同じです。
ではアニメの場合、レンズはどうでしょう?
絵なので、一旦決めたら普通はもう変えられません。

3Dなら簡単い変えられますが、2Dの場合はかなり大変なので、できるだけ撮る画角を決めて描いた方が効率がいいです。
それじゃそのレンズはどう決めるの?
はい、いつものやつです。逆算です。
リアルでカメラを扱うときは体を動かし、レンズを変えたりで撮りたい構図を探すのですが、絵は描き手によって決められます。

これがアニメの最大の利点です。描き手によってもののサイズや位置をいじるのがリアルより簡単なので、欲しい画面が作り易いです。
キャラを描いて、背景を描いて、合わなかったらまたやり直し。いつかは欲しい絵に辿るかもしれません。
しかしこれでは効率が悪いです。
前に描いた記事でも触れていましたが、どういう狙いの絵が欲しいのか決めてから被写体などを決めれば、レンズが勝ってに決まる。
でもそんなこと言われてもイメージが湧かないよ!
という人に、これからヒントとなるかもしれない考え方を伝授したいと思います。
・先ずは広角と望遠の違い

とある交差点を上から見た図です。
赤と青という同じサイズの立方体が少し離れた位置にあるとします。

その二つの立方体を一つのカメラで撮ってみましょう。
左右の赤い線が視界の限界とした場合、それぞれの立方体がどう見えるを考えてみましょう。
基本的に画面、もしくは目に映って見える赤は横に引いた線(AーB)のサイズ感です。同様に青は(XーY)のようなサイズ感になります。

赤のサイズに対して、青が結構小さく映ります。
これは左右のあるものが多く映るため、それぞれが小さくなってしまいます。
これが遠近の仕組みです。
では望遠レンズの場合どうなるのか見てみましょう

先ほどの赤いラインの内側にある青いラインが望遠側のレンズの左右の視界だと思ってください。
そして同じように赤と青の見え方を切り取ってみましょう。

先ほどとはだいぶ違うように見えるでしょう。これは左右の見える範囲が狭いため、同じ物体でも結果的に大きく見えます。
ここで注目したいのが赤と青のサイズの違いです。
広角側だとサイズがだいぶ違うのに対して、望遠側の方はそれほど差はありませんね。
もちろん同じサイズ、同じ位置に置いてあります。
これが広角と望遠のもう一つの大きな違いです。
・広角レンズはパースと遠近感を誇張 ・望遠レンズはパースと遠近感を圧縮
先ずはこの二つの概念、それぞれの見え方を覚えてください。
基本的に被写体を視聴者に集中させたい時は望遠を使うなど、分かるようになります。

レンズを決めると言うよりは狙いたい画面を意識した方がいいです。レンズの効果などは知識の裏付けとして持っていただきたいです。
見え方の違いについて、被写界深度、ブレ、立体感などがあります。
実際に写真を見比べてみると良いでしょう。
また映画やアニメを観るとき、少し画面の構成に注目すると、自然と覚えるでしょう。

当然、左右だけではんく、上下も同じです。
同じカメラの位置でも、映る地面の範囲が違うのが分かるでしょう。特に地面や空に大事な情報がないなら、それらを映さないで人物に焦点を当てる選択が出来ます。
このように図式化してみる、割とわかりやすくないですか?
もちろんこれはあくまでも知識なので、実際に絵作りの際、
「キャラを大きく写したいから望遠レンズだ!」 「背景を多く取り込みたいから広角レンズだ!」
と、決め付けるのではなく、キャラは大きく映しつつ背景を遠く見せるという選択肢もあるので、狙いたい絵面を優先に考えたいです。
どんな画面を作りたいかは状況や経験で変わってくると思います。
ただ!人間の目はレンズでいうと大体50ミリくらいの見た目で世界を見ていると言われているので、出来ればそれに近い感じの絵にした方が自然で見やすいらしいです。
※上記で描いた絵で広角としている角度はアニメでいう広角というよりは普通のレンズの感覚です。広角寄りといったところですかね。
どうでしょうか?なんとなく理解できたでしょうか?
この理屈から、撮りたい画角をこんな感じで決めればあとはパーツを嵌めていく感覚で描けば良いかと。
レンズの特徴
次はレンズの特徴についてもう少し詳しく見てみましょう。
レンズとセットで考えたいのはボケですね。
被写界深度というものです。
要するにピントが合う範囲のことを指します。
基本的に望遠になればなるほど、その範囲が狭くなり、ボケの度合いも強くなります。

構造上、望遠側のレンズは長くなりますので、外から入る光量が少なくなります。これは物理的な構造上でこうなります。
同じサイズのトンネルでも入り口と中では明るさが違うのと同じ原理です(図左上)
そうなると絵が暗くならない様に、絞りを開くことで解消します。絞りの穴が大きいとボケやすくなります(図右上)
何故絞りが開くとボケるのかは上記の図の下の方に描いています。自己流に言うと、光を絞らないと、スクリーンに届くのが広がった後なので、絵の情報が散らばるといった感じ(笑)
絞りについても少し解説します。
光の量を影響するものがいくつあります
・レンズの長さ ・絞り ・シャッタースピード
レンズの長さについてはもう上に方通りなので割愛します。
絞りは上に書いてありますが、どんな場面で使うかをちょっと解説します。
・明るさを誇張したい時
例えば、長いトンネルや廊下の先にある出口を明るくして、希望感を出したい時などに使います。
本当はそこまで明るくはないけど、わざと絞りを開放して多く光を取り込んで飛ばししたりします。
・映したくないものを暗く落とす
逆に絞りを小さくしてシルエットっぽくすることで情報を落としてしまうこともあります。どっかの名探偵の犯人みたいにね(笑)

今手元のスマホがあれば、試しにカメラを起動してみてください。明るさの異なる場所を映して、それぞれ明るいと暗いところをタップしてみてください。画面の全体の明るさが変わったりしたでしょう?
続いてシャッタースピードについて触れてみます。
写真を撮る時、カシャって鳴ると思いますが、それがシャッターが作動する時の音です。
本来写真を撮るとき、フィルムもしくはセンサーに光を当てます。普段は光がシャッターによって遮断されていますが、撮る瞬間だけシャッターが開いて光を通します。
シャッターが開いてから閉じるまでの間がシャッタースピードによって決まります。速ければ時間が短く、遅ければ長いです。何が変わるかと言いますと、総光量です。
日焼けと同じです。光が長く当てれば変化するします。
肌は黒くなり、写真だと明るくなりますが(笑)
これはあくまで写真の場合です。アニメは動画なので、基本的にシャッターはありません。
その代わりというわけではないですが、フレームレートがあります。細かいことはあまり分かりませんが、フレームレートが高い方がヌルヌル見えて、人によっては綺麗に見えます(分かりません)
映像の場合、ものすごく高いフレームレートで撮って、それぞれのフレームを通常スピードに引き伸ばすとスローになります。
逆に通常のスピードで撮って、間の絵を抜いて早回しに出来たりします。
レンズ、絞り、シャッタースピードを組み合わせればいろんな画が作れます。

結構複雑なのであまり詳しくは説明しませんが、ぼかしたいときは望遠レンズと覚えれば十分です。
絞りは余裕があれば覚えればいいかなと思います。
と、この様に焦点の合わせ方によって、見せたくない情報を落とすことが出来ます。
あとはよく聞く魚眼レンズです。
本当はどんなレンズでも基本的には少し湾曲していますが、魚眼はそれがかなり強く現れているものだと思ってください。
以前広角と望遠レンズの違いで描いた図がありましたが、魚眼の場合はどうなるのか、自分なりの解釈を説明してみたいと思います。

左右の見える範囲が広いので、モニタに収めようとすると凝縮しなきゃいけないので、
それをレンズの光の進入角度の違い、圧縮率が変わっていき、歪みのある絵になってしまいます。
見えない手で両サイドの情報を無理やりぎゅ〜っと詰め込むイメージです。だから中心から離れれば離れるほど歪みが強くなります。
ちゃんとした理屈とかは正直わかりません(笑)
でもこれでなんとなく雰囲気は伝わったのではないかなと思っています。
全て理解する必要はありません。でも存在、使い方が分かれば、演出としては十分です。
大事なのは正しい使い方、伝え方です。
・ポートレート絵を撮るのに普通は魚眼レンズを使わない
ドアの覗き穴から覗いている時なら適切。またスケール感を出したい時など
・「絵が歪んでいるアレをやりたい!」と言っても、広角レンズでも普通より歪んだ絵になるので
「魚眼レンズで撮った絵をやりたい」ならすぐ伝わります
まとめ
実写と違って、アニメは実際にレンズを扱うことはないのですが、同じシーンを違うレンズで撮れば、異なる構図になることを知識として知る必要があります。
レイアウトを書く際はキャラの位置関係と構図に合わせてどんなレンズが使われているかが分かれば、撮影へのボケの指示が出せたり、縦パースや湾曲したパースにしたり、表現の幅が増えると思います。
映像のみならず、写真、イラストなどもレンズの知識はクリエイティブワークをする時にとても役に立つと思いますので、ぜひ基本的なところだけでも覚えて行って頂ければ幸いです。

最後に断っておきますが、理屈の正確さは保証していませんので、あくまでも個人的にイメージとしてこう見えるであろうという解釈です。
なんでもそうですが詳しく知る必要はありません。広く浅く、いろんな知識を持った方がクリエティブな方面に役立つと思います。
それでは、今回はここまで!


