作画の前後合わせについて

アニメは絵が1枚のみのCUTもあれば、10数枚、ときには数十枚数百枚に上ることもあります。
それらの作画は時間軸に乗って映像になるのです。

きちんと作画されていればスムーズに動きますが、うまく中割りされなければとんでもない絵が生まれます。

今回は原画を描くとき前後の合わせが最終映像にどう影響するかを解説します。

この作画の「前後合わせ」がちゃんとできていなければ、作画崩壊とまでいかなくても、画面に違和感が生じて没入感を阻害してしまうことに繋がります。

これからお見せする絵はどれもこの記事の説明のために描いたものですので、多少の誇張は入っていると思ってみていただければ幸いです。

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腕を上げる動き

まずは下記の原画を見てください

中割りが入る前なので絵の枚数が少ないです。

プロのアニメーターであれば現時点でこの絵の違和感に気づいていると思いますが、皆さんはいかがでしょうか?

鈴

念のためにもう一度言っておきますが、説明する為なので、「そうはならんやろう」はなしでお願いします!(笑)

そんなのやる訳ない、そう思う方が多いでしょうけど、実は驚くほど多く見かけます。とくに最近増えている印象
せっかくの上手い動きでもこういったところで台無しになってしまいかねません。

原画だけではわかりにくいと思いますので、間を繋ぐ中割り、つまり動画を入れたバージョンを見て見ましょう

これならもうはっきりとわかるでしょう。
いかがでしょうか?

袖の模様に違和感を覚えるでしょう。白い部分を注目してみてください。
縞々の模様の幅が変わってしまっています。

原画だけだと、そこまで気にならなかったものが動画になった途端、違和感が強いものなりましたね。

鈴

動画経験があまりないアニメーターはこの辺の意識が薄い傾向にあります。
実際に割って確かめることがある方はこう言うことに対して敏感になるので、自身で原画を描くときは注意深く描いているはずです。

では原画が実際にどのくらいズレていたのか、比較下画像を見てみてください

肩の位置に合わせて回転してみて、ご覧の通りかなり短くなっていますね。

「いやいや、誇張しすぎだろ」「わざとすぎぃ」
という声が聞こえそうですが、

鈴

正直言いますと、自分の想定よりもだいぶ短くなっていてびっくりしました(笑)

信じない方は一度試しに描いてみてください。いくら頑張って合わせようとしてもズレると思います。
ましてや合わせようとする意識が無ければ、尚更ズレが大きくなりますね。

線を引くときの意識

今の作画の2原システムでは修正やラフ原をトレスするのに必死で、合わせることに意識がなかなか向けられないでいると思います。
作監も全部の絵に修正を入れているわけではないため、ズレがまた起こりやすくなります。

それを整えつつ清書するのが本来の原画の仕事です。

すずめ
すずめ

修正をなぞるだけじゃないの?

鈴

そう思われがちですが、そもそも動画の「原トレ」(原画トレス)も厳密に言うと、トレースではなく「清書」なんです。
ただ、今の原画は昔と比べてキレイに描かれているものが多いのでなぞるだけで済む場合がほとんどです。
一見楽そうですが、育成の観点から見るとあまり良くないです…脳死で線を追うだけでは自分の身にならないのです。
引いている線が何を表現しようとしている線なのかを考えながら引くと、ただの作業ではなく、勉強の時間になります。

すずめ
すずめ

線画がキレイだと、それが正解だと思っていました

鈴

キレイだからといって正しいとは限らないんですよ。それだけで安心しちゃうと間違いに気づきにくくなってしまいます。
設定などもちゃんと確認しつつ作業しなければなりません。

作監・総作監の絵が絶対正しいと思っている方が多いと思いますが、実はラフ原の修正に関してはそういうわけではありません。あくまでもガイドとして描いていると思った方がいいです。
まれに服装が違ったり、変更されたりしますので、確認を怠ってはいけません。あとからリテイクなったら、修正する時間がもったいないです。

鈴

修正は基本的に顔周りはできるだけそのまま、いじらないようにしていますが、それ以外は設定や前後の絵に合わせて調整する用にしています。
それで文句を言われたことは一度もありません。

調整してみた

ではどのようにすればいいか見てみましょう

今回は説明するための簡単な動きなので、基本的に真横に腕を動かしているという前提です。
軸になる方から腕の長さが変わらないようにガイドの補助線を引いたりして合わせます。

袖の長さも合わせますが、今回はわきのところは体の部分に引っ張られるので、それを考慮して調整します。

鈴

自分できる動きなら、想像だけで描くのではなく、実際にやることでどう動くかを確認しつつ観察しましょう。

袖の長さを完璧に合わせるのは難しいので、できるだけ寄せて、少なくとも模様の比例が大きく変わらないように描いていきます。

下記は全体を調整したあとのどうがです

シワを足しちゃってちょっとズルですが、このような感じで調整してみました。

それでも長さはある程度変わってしまっています。それをシワを足すことで変化をつけて違和感を緩和しています。

あとは白と黒の比率を守ることで変化に気付きにくくしています。

まとめ

原画を振り返りつつ清書しないと、絵はだんだんとズレていきます。

そのズレを放置してしまうと、中割が入ったら気持ち悪い動画になってしまいます

修正やラフ原の線をただなぞるだけではなく、きちんと前後を確認しつつ、今引いている線は何を表現しているのかを常に意識して引けていたら、ぐにょんぐにょんするような原画を描かなくなると思います。

今回は服の縞模様ですが、ほかには顔のパーツや髪の毛の長さなどが動くと変わってしまうことが多いです。
服と比べると、顔周りの変化は目につきやすいところなので、とくに注意する必要があります。

これからはもっと意識して線を引くようにしましょう!

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

コメント

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