演出意図について

どうも、鈴です。

みなさん良く耳にするこ言葉だと思いますが、

演出意図

とはどういうものなのか、イマイチ分からないという方も多いのではないでしょうか?

演出(えんしゅつ)とは、物事を表現するときに、それを効果的に見せること。またはその役割を担当する者のこと。また、機械などの動作の装飾的な動きも演出と呼ばれる。

「演出」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。最終更新 2023年2月25日 (土) 13:05 UTC
URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/演出

要するに、この「演出」という部分は何を伝えるためにするのかを考える必要があります。

アニメなら普通は絵コンテから読み取ることができると思いますが、解釈というものは曖昧で主観的な部分があるので、果たして自分の考えた意図が求められているものと一致するのか、正直分かりません。

監督、演出、作監、原画によって違うこともあります。

なので、まずは自分が出来る下準備をしておきましょう。絵コンテを読んで、どいうシーンなのかを自分なりに解釈して、打ち合わせで擦り合わせるのが一番良いかなと思います。
以前にも触れたことがあるいますので、合わせて読まれると良いかもしれません。

今回は自分なりの絵コンテを読む時、どこをみているのか、どういう思考で芝居を考えるのかを紹介したいと思います。

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5W1H

When、Where、Who、What、Why、How
いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように

これらを意識して絵コンテを読むべきです。

これで一番基本的な情報の整理が出来ます。特に後半の3W1Hはキャラの芝居に大きく関わってきます。

ほとんどの場合はそのシーンでの言動が完結していますが、時々他のシーンや話数の関係で今回の行動に影響することがあります。

例えば険悪なムードのワンシーン。
キャラの会話がありますが、口調が淡々としています。なぜこんな感じで喋っているのか、元々の性格なのか、それとも何かきっかけがあってこうなってしまったのか、その理由を知ることにより、2人の間柄をキャラの表情付けや動きの付け方で、生きている芝居を描けると思います。

作品の方向性

まずはどういう作品なのかを把握するところから始めます。

・ジャンル
SF、ファンタジー、恋愛、コメディ、スポーツ、日常、ホラー、アクションなど
・テイスト
シリアス、ギャグ、ほのぼの、過激など

放送中や原作ありのアニメなら過去話数や原作を読めばわかると思います。オリジナル作品だと事前情報がないので、仕事のオファーが来た時か絵コンテなどを貰う時に確認するようにしましょう。

鈴

制作のみなさん、営業電話をかける時もある程度の説明があると嬉しいです。

知らない作品でも好きなジャンルだったらやりたいと思うかもしれないので!

作品の方向性が分かればどう言ったところを見せたいのかは結構把握できると思います。

例えば恋愛物なら、人間関係や会話が大事だと思います。キャラとキャラの距離感、話す時の表情、ちょっとした仕草がピックアップされます。それぞれがどう関係性に関わってくるかに注目すると良いでしょう。

SFなら、結構世界観が特殊なので、未来的なギミックを見せたいなどという意図が多かったりします。

ちょっと余談ですが…
戦闘ものならもちろんアクションの派手さ、エフェクトのカッコ良さを意識しないといけません。この辺は意図というよりは作画の腕の見せどころと言った感じですが(笑)

鈴

派手な作画は好きですが、UPになりすぎて速すぎて何が起きているのか分からないというのは好きじゃないです。

せっかく描くならちゃんと視聴者に伝わるようにしたいです。

最近はただひたすら派手に動いている、重みを感じない軽いアクションが多いのが残念です…

速いアクションでも上手いアニメーターはちゃんと「魅せ」るポイントでちゃんとためたりしていると思います。その静と動を織り交ぜて、緩急が出来て、気持ち良いタイミングかつカッコいいポーズを見せることが可能です。

話数・シーンの意図

方向性がわかったところで、次は担当する話数・シーンの意図を考えたいです。

演出、作監は大体話数全体を担当して、原画マンはシーンかシーン内の一部を担当します。
それによって絵コンテをどこまで読むかが変わってきます。

出来れば全部読みたいところですが、実際はそこまでの余裕はないでしょう。

一部のみしか担当しない場合でも、最低限担当部分の1シーンだけでも読んでおきたいです。

では意図はどんなものなのか少し細かく見ていきましょう。
話数の意図の例
・AとBの再会の話
・試合の後半戦
・悪役の誕生秘話
・最終決戦の前日
などと大まかな話としてまとめてみましょう。

シーンの意図の例
・密室トリックの解明
・目的地に向かっている
・回想
・朝の身支度
など、短い尺の出来事として整理。

意図と言っていますが、テーマと言い換えても問題ないような気がしますね。

上の例からちょっと組み合わせてみて
・サッカーの後半戦中
 ・主役がゴール前にボールをもらってシュートできる状況
 ・回想に入る

話数としては試合の後半戦の様子を描いています。その中のワンシーンで主役がボールをもらいます。
そこでいきなり回想に入ります。

この回想は果たして何を伝えたいのか、内容をみて考えます。
例えば、ゴールキーパーは幼馴染だったり、主人公が猛練習していた描写だったり、前半戦で実は怪我をしたことを判明したりとさまざまなパターンがあります。

もちろん一つだけとは限らないので、他にやりたいことは何なのか、出来るだけ分析して考えてみましょう。

CUT単位

ここからは細かいところを見ていきましょう。

シーンはCUTで構成されています。
基本的に同じ場面・場所の同じ時間軸をワンシーンとして考えます。

前の記事の絵コンテを例に出してみます

シーンとして分けると、
・C1〜5 AとBの会話
・C6〜10 CがDに会いにいく
・C11〜15 CとDの会話
・C16〜23 Dの回想
・C24〜26 CがDの話について何か思う

ざっくりとこんな感じで分けてみました。

それぞれちょっとしたテーマみたいな意図を与えることによって、各CUTの動きや構図をどのように設定すれば話の助けになるか、または邪魔にならないのか、ある程度の方針を決められます。

では「Dの回想」パートを細かく見ていきましょう。

と、その前にこの回想は何が伝えたいのか先に考えましょう。
Dが何かから逃げているが、最後は追いつかれてしまう。

シーンはC16からなので、地面のFOLLOWです。シーンの始めなので、場所、時間、人物を出来れば紹介しておきたいです。

C16
・地面(場所、時間)
・走りの揺れ(動きの補足)
・Dの声(人物)
逃げているの、背景の動くスピードは速い方が良いでしょう。またカメラの揺れも少し大きめになるでしょう。

C17
・基本的にC16と同じ内容(切り返し)
・C16はシーン変わりでインパクトを出したいのでUP

C18
・感情を伝えるために表情をUPで見せる
・追われているのを見せるために振り返らせる
・必死さを出すために加速する

C19
・暫く走ったことを思わせるために、CUT頭すぐではなく、少し経ってからIN(時間経過)
・長い走ったことを強調するため、疲れたDを見せる
※C18とC19をOLで結べば、今より時間が経過したと見せることができる。その場合はシーンを分けても良い。

C20
・視点の切り替え
・Dの後ろなので、追っていた人物だと示唆する
・銃を出して、危険度を表す
・ゆっくりゴンドラTUで近づいていく動きを見せる(気づかれないようにゆっくりと)

C21
・DのUPで銃が見えない(Dが気づいていない)
・カメラワークで銃が再び見える
・表情が固まるD(ここで追いつかれたことに気づくD)

C22
・初登場するキャラEの印象づけのため、もったいぶったカメラワーク

C23
・銃声が鳴り響くが、何が起きたか見せたくない
・鳥が飛び立つ、音の大きさを表現する

言語化してみましたが、いかがでしょうか?
このシーンは何を伝えたかったのでしょうか?

それが分かったから、何がどう変わるのでしょうか?例えば
・表情見せたいなら、カメラはどのくらい寄ろうか
・逃げているなら、走りのポーズはどんな感じにするか
・動きやカメラワークのタイミングがCUT頭、途中、それともCUT尻に持って行くべきなのか
構図、芝居、タイミングの組み立てが変わってくると思います。

ちょっとサスペンス風な見せ方になっているので、追っ手を見せずに存在をDの行動で表現しています。
・走り方は姿勢良く、ではなく、腕を大きく振って必死に
・表情は怖がっていて、冷や汗がついている
・走りながら振り返る

たとえコンテの絵が丸チョンで描かれていても、意図が分かれば補完して描けるようになると思います。

何気ないCUTの演出意図

先ほどはそれなりにアクションがあるシーンだったので、わりかし意図がわかりやすいと思いますが、ここからは何気ない、ちょっとした芝居もしくは芝居があまりないような時はどう考えるか、みていきましょう。

また前回の記事の絵コンテから例としてみていきます。

C1
・Aが手を挙げて挨拶する(画面外に誰か知り合いがいる)

C2
・その相手はBだった
・Aの挙げていた手を下げる(下げないと不自然)

C3
・移動を見せている
※C3飛ばしてC4でやってもいいが、ずっとキャラのバストアップ以上しか映っていないので、状況があまり分からないため、引いた所謂マスターショットというのを入れている
※マスターショットとは立ち位置や状況がわかるように映すCUTのこと。必ずしも必要ではないが、あると視聴者は色々把握できて観やすくなる。

C4
・距離や時間を盗む時にあえてCUTを割る時がある
※元々はコンテの描き方のために作ったコンテなので、そこまでの意図はなかった(^_^;)

C12
・前のシーンで謎の人物Dが登場したので、ここですぐに素性を明かさないようにちょっとした枕を置いておく
※これはアニメではよくやる演出。シーン頭ですぐに全体を見せず、UPで何かをするところから始まる。

C13
・まだ情報を制限したいので、背景はあまり見せないようなアングル
・コーヒーのやりとりを通じて、この2人は知り合い、もしくは打ち解けているような印象を与えられる

C13続き
・見回す動作を先に入れて、次のCUTへの誘導(何かを見ているという先入観を入れる)

C14
・何をみているかをここで明かす(引きなので、部屋全体を見ている)
・Dがここで全身(ちょっと違うけど…)が映るようになる(ついでに人物紹介)
・ずっとカップ持っていてもいいが、下すなら邪魔にならないようにさりげないところで

C15
・表情が分かるようにカメラが寄る(ポン寄りの方が良いかもしれないが…)

このように、各シーンから各CUTまで、自分なりに物語を語るつもりで演じてみると、動きや構図などにどういう意図があるのかを理解できると思います。

ただ、なんとなくCUT割った、それらを繋げて1本のフィルムにしました、みたいなコンテも世の中にはあります(良くないが…)。その場合でも自分なりにこじつけでも良いので、意図を考えてあげるとやる方としても楽しく出来るかなと思います。

鈴

個人的には絵コンテはどのCUTでも意図があるべきだと考えています。一見長いBG ONLYのカットでも、時間経過や状況説明などといった役割を与えた方が良いかなと思います。
テンポのためにあえてCUTを割るのも良いと思っています。

もちろん作者のスタイルというのもありますので、一概にダメと言っている訳ではないです。まぁ、そこは好みの問題ですかね(笑)

まとめ

大きな意図があって、それが段々とシーン単位からCUT単位、最終的には各動き、ポーズ、表情までに細かく繋がっていきます。

CUT単位だけで考えるとどうしても思考が狭まるので、芝居の幅も広がりません。

絵コンテはあっても、各パートの作業者が共通した演出意図を持たないと、リテイクが発生したりします。

現場が疲弊してしまうので、なるべく打ち合わせで意図のすり合わせを行うと良いでしょう。

当然色んなシチュエーションがあるので、色んな演出意図もあると思います。

数式みたいに正解がある訳ではないので、コミュニケーションを取りつつ作業を進めたら良い作品につながります。

今回は自分の考え方をまとめてみましたが、いかがでしょうか?参考になれたら幸いです!

ここまで読んでいただきありがとうございました!