どうも、鈴です。
階段を上る作画がいつも普段の歩きにしか見えないのはどういう訳か、解説したいと思います。
特に足元が映らないローリングを使っている時が一番顕著です。
階段をちゃんと上っているように見せるのにまずは階段を上る時の仕組みを考えましょう。
力の作用

♪キーンコーンカーンコーン、物理の時間です!
ガチガチの授業ではないのでご安心ください(笑)
普段何気に上っている階段ですが、どう言うふうな動きで上っているか、ちょっと目を閉じてイメージしてみてください。どうですか?出来ましたか?

まずはこんな感じに階段があります。
では1歩目を

まぁ、ここまでは多分皆さん同じでしょう。
次の原画、皆さんはどう描きますか?

多くの方はこう描いてきそうです。
そしたら動画はどうなるかちょっと割ってみますね…

どうでしょうか?何だか可笑しく見えませんか?バランスが取れなそうなポーズをしていると思いませんか?
というよりも、そもそもそのポーズにすらならないと思います。
どういうことか、見ていきましょう

階段を上るのに必要な力は右足のみになっています。支点が右足なので、結局右足の太ももの力のみで体の重みをあげようとしています。
体重のほとのども支点から離れているのでかなりの力が必要になってしまいます。結果…

上るどころか、後ろに倒れてしまいます!
では、そうしたら良いのかというと、まずは上だけではなく、横方向の力を加える必要があります

膝の位置が前になるように重心を前に移動させます。
重心がズレたことによって、横方向の力が生まれます。
マイケルジャクソンじゃない限り体を少し前に倒すとバランスが保たれなくなるのはわかると思います。
そうしたことによって生まれる力の方向が

こうなります。縦と横の力があるおかげで、最終的に力のベクトルは斜めになり、上ることが出来ます。

ゆっくり上る時、後ろ足は基本的に使わないが、駆け上がる時は逆に後ろ足がメインになります
また、前に動くことによって、重心と支点のの距離が短くなり、必要な力も減ります。

結果として上に上れます。
要するに、原画は少なくとも後1枚は欲しいということです。
軌道
続いては足元が見えない、バストアップのFOLLOWなどの時の処理を見てみましょう。
作画崩れの防止、セリフがある時などは作画ではなく、ローリングでやることが多いです。
※ローリングとは動きの軌道を撮影で行うことを指します。
でも多くの人は普通の歩きと同じ軌道で指示を入れてきます。当然、歩きにしか見えないのです。


参考に以前の資料からです。歩き①のローリングを見ると、基本的に上下しての繰り返しです。
階段を上る時の軌道は実際どうなっているのか見てみましょう。

歩きと違って基本的にあまりというか、基本的に下がってくることはないです。また、上がる時の軌道は直線ではなく、弧を描きます。
ただ、FOLLOWなので、横移動時は擬似的にカメラに追いつかないようにしないといけないので、下に行く軌道を付けます。

パッと見歩きのローリングと似ていると思いますが、良く見ていただきたいです。
違いは下がる軌道は均等に近いようにして、上に上る軌道は詰めています。
理由はいたってシンプルです。途中のポーズを維持するのが大変なのでなるべく速く次の楽なポーズになりたいからです(笑)
後は視覚的にそれっぽく見えるからです。
階段上る時に見る景色を思い浮かべてみてください。歩きと違い、景色があまり変わらない時と急に変わる時が交互になると思います。それを擬似的に再現していると思ってください。
※上記のローリングの指示はあくまでも参考として描いたものなので、実際の中枚数などは芝居によって変えないといけません
おまけ
雑ですが試しにローリングをつけた動画を作ってみました。
通常の歩きのローリング:
アニメ的に見ると、そこまで違和感はありませんが、階段を上っている感じはあまりないです。
そして斜めにつけたローリングです:
こちらの方が階段を上る感が出ていると思いませんか?
因みに、斜面上る時も似たような動きになると思います。
確かめに坂にでも登って見てください(笑)
まとめ
階段を上るという日常的な動きをそれらしく見せるのに、原画枚数は歩きより多く必要です。
また動きの軌道も歩きと違うので、同じような描き方をしてはならないのです。
今回はどんな原画を描くべきかは説明しません。描き方はそれぞれたくさんあると思いますので、ご自身でそれを確かめると良いでしょう。
日常的な動きは描く前に一度自分自身でやってみて描いたほうがよりそれらしく描けるようになると思いますので、想像だけで描かないように!
では、今回もここまで読んでいただきありがとうございました!

