どうも、鈴です!
今日は作画の基本の動きの中で最も難しいとされている振り向きについて解説したいと思います。
振り向きが難しいとされるのは、顔の凹凸が多いからです。動きの中で正確に立体感を保つのが難しいです
今回は正面から横への振り向きを題材にしました。後ろからも結構難しいですが、顔のパーツが最も変化するのが正面から横です。
ここで先に断っておきたいのですが、今回作成した素材はあくまでもラフな物だとご理解いただければと思います。絵の良し悪しは今回のポイントではないのでご了承ください。
通常の振り向き
ではまず通常の振り向きがどんな感じか見てみましょう

流石に現役並みの精度で描けないのでスムーズさはちょっと微妙です(^^;;

こちらはちゃんと動画マン時代を思い出しつつ、普通に割ってみました。
このような振り向きの中割りは基本的にデッサン割りと呼ばれています。
要する立体感を意識して中割りをすることです。
もう一つの割り方は線割り、もしくはタップ割りという手法です。
線割り
振り向きの解説に入る前に線割りについて少し説明したいと思います。
これは一番良く用いる中割りの手法です。
単純に絵の線を線としか捉えず、立体感を考えないで割ります。
例えばこんな感じの原画があるとします

大きい箱①が小さい箱②に変わっていきますが、動画マンはこれをどのように捉えるのかというと

各サイドを一つの「線」として認識して、次の絵はこの線がどの線になるかを決めます。
決めたら詰め指示に合わせて割っていきます。今回は中間の中割りとしましょう

それぞれのポイントを結ぶガイドを仮に置いてみました。それぞれのガイドの中間に当たるポイントもマークしました。ではそれを結んでいくと

中間の位置に中割りが出来ました。
簡単でしょう?では曲線の場合はどうなるんでしょうか?みてみましょう

原画①は外側の曲線2本、原画②は内側の2本です。詰め指示は真ん中に1枚、②に近い位置にもう1枚の中割りを入れるようにと。
みなさんは①→②の中割りはどのように描きますか?
では正解をお見せします

このような中割りになります。
線割りは基本的にはみ出ないように割ってきます。
絵の位置が遠い場合は紙(レイヤー)を移動して、絵が重なるところで中割りする手法がタップ割りですが、今回はその説明を割愛します。
線割りは普通は平面的な動きにしか使わないのですが、海外の動画はそれが楽だから、それで何でも割ってしまうから変な中割りが生まれるわけです。
とりあえずこのくらいわかって頂ければ十分です。
次は振り向きの解説に入ります。
デッサン割り
通称デッサン割りとは立体感をちゃんと意識して、奥行きが感じられるように中割りをすることです。
ではこれを分解して行きましょう。まずは原画です


このように、正面1枚と横向き1枚の原画があります。
で、今回は中割り枚数を5枚としています。速度感もついでに覚えていただければと思います。因みに3コマうちです。
今のアニメは振り向きは大体4枚、速い場合は3枚でやったりします
コマ打ちについてはこちらを参考にしてください
中割りする時は大体中間位置の絵を先に割って、その割った中割りを使ってさらに他の間を割っていきます。
今回は間となるのは斜め45°を向く絵です

これを前後の原画と重ねてみましょう

注目するポイントは、こちらは真ん中の中割りなのですが、各パーツの位置を比べてみてください。
どうですか?何かお気づきでしょうか?

各パーツの動く距離が違うんです。
絵は紙や画面上では基本的に平面です。しかし、立体物を平面上で表現しているので、同じく45°回転しても全部が同じように動くわけではないです。
どういう理屈なのか、次の項目で解説します。
立体感
画面上どんな映像、画像でも2Dですが、我々絵かきは3Dで考えなくてはならないです。
3Dのもう一つのDは奥行きです。
では振り向く時、頭の奥行きはどうなっているのか、カメラを上から撮ってみると分かりやすいです

Z軸上、鼻の先端が一番前で、その近くに目があって、そのさらに奥に耳があります。頭を横に向くとき、それぞれのパーツがどう動くのかに注目してください。

それぞれの絵は上の振り向きの原画①②と中割りに当たります。下にある横の線はモニタだと思ってください。
振り向く時、もちろん軌道にもよりますが、鼻を中心に回るのではなく、大体首の軸に回転します。
そうなると、各パーツがどのように動くかは一目瞭然です。
これを意識して描いた絵は立体感がちゃんと出て、自然な動きになります。
では、デッサン割りをせず、線割りでやった場合はどうなるのか、気になるでしょう。
こちらです…

一応目と鼻、口と耳がちゃんと揃っているから、顔を言えば顔ですが。
全体的にのっぺりした感じに見えませんか?
分かりにくい方もいらっしゃると思いますので、比較用に同じ中割りを重ねてみました

いかがでしょうか?薄い水色の方はデッサン割りで割った絵です。結構ズレていますね。
線割りでやる場合、上でいったように顔の凹凸による立体は無視されるので、各パーツはど真ん中の位置を通っていきます

このような感じで全てが平均化されます。
ただ、これら中割りはほとんどが一瞬で過ぎ去るので、果たして動画になった時、みなさんはその違和感に気付くのでしょうか?

正直、意識しないと多分そんなに変に見えないと思います。
まぁ、それなりにちゃんと割ったので、大きくブレなければそれなりにスムーズに動きます。

告白します。。。
実はデッサン割りの振り向き、ちゃんとデッサンで割ったのはたった1枚だけです!
他の4枚は線割りでした!
そうなんです。中割り5枚の内、真ん中の絵だけデッサン割りして、残りは線割りで割りました。
どうですか?分かりましたか?

要するに、線割りが絶対悪ではないのです。上手く使えば手間を減らせます。それと、実は線割りの方がガタガタしない動画になります。
時々全原画で描いてくる人いますが、ちゃんと合わせて描かないと、ほとんど映像になった時、線がガタガタします。
だからちゃんと動画に任せられるところは任せた方がいいのです。
もちろん万能というわけではないので、最終的には微調整も必要です

最後の5枚目の中割りです。ところどころ形がよろしくなかったので、大きく影響しそうな目と輪郭の方を調整してみました

この調整した絵を入れ替えていき

最後に口がもわっとなっていたところが改善されました。
髪の毛
顔の方はこのくらいにして、次は髪の毛の中割りについて少し触れたいと思います。
アニメはほとんどの場合、髪の毛は束でまとめていますので、中割りする時はどの束がどこに移動するかを把握しないといけません。
例えば大きく分けるとこんな感じでしょうか

これらの行き先を決めて

ここで注目して頂きたいのが「エ」です。本来そんなところに行くはずがないです。
ただちゃんと立体感を意識してやると、中割りで徐々に消えるようにしつつ、後ろの毛が急に現れるようになります。
現実であれば多分そんなことは気にしないと思いますが、アニメの場合、それが急に出現したように見える可能性が高いです。
これがミスっぽく見えたりするので、こういう時は目立たないようにこんな感じで流してしまうのも一つの答えかもしれません。
「オ」も同様です。
一応中割りの絵の時はどうなっていたかみましょうか

「ウ」あたりの中割りが実は結構難しいんです。上手くそれらしく見えるように割るのは技術が必要です。

ついでにいうと、振り向く時、目線は出来れば先行して向く方向をみるように出来るとさらに自然になりますよ!
目線の送り
振り向きは誰かに呼ばれたり、何かを見る、または音に反応したりする場合が多いです。
その場合は目線が先行して、顔より先に目的に向きます。
原画ではスタートとラストしか入れないことがほとんどなので、この目線の先送りは動画に任されます。
といってもほとんどその指示は原画には書かれませんので、動画の判断で入れることになります。
頭の動きは振り向きなのか、それともただ周囲を見回すだけなのかを確認しないといけませんので、ご注意ください。

結局数コマしか見えないので、この微妙な動きは正直あまりあってもなくても分からないことが多いです。よほど遅い動きで中割り枚数を多く入れないと気づかれないと思います。
代わりにというか、目線の切り替えをして考えても良いように思うのが中目パチです。

△目線を先に送らないと周りを見てるように見えます。
中目パチ
振り向きの時、中目パチを入れることもよくあります。
これも上手く割らないと中途半端な閉じ目になり、変な表情になったりします。
出来れば先に別紙で中割りの開き目を作ってからその位置に合わせて閉じ目や中目を描くと良いと思います

理由は閉じ目から開き目になる中目を正確な位置とサイズに描くのが大変難しいからです。なるべく近いものをベースにする方が良いでしょう。

せっかくなので、目パチについて少しだけ説明します。

目パチのやり方は結構人によって違いがあります。自分のスタジオはどうやるのかを聞いてそれに合わせたやった方が良いです。
これはあくまでも自分が動画やっていた頃の知識です。

ポイントはど真ん中に割らないことです。かなり中途半端な見た目になりますので、基本は開き目に近い感じで閉じ始めるくらいのイメージです。
おまけ
2コマ打ちにしたらどう見えるか


もう一つ比較用に、振り向きの詰め方を中央に寄せた場合

最後急に飛んで、ピタッと止まる動き、結構見ます(^_^;)
基本的に動き始めと止まる直前に詰めると良いです。
まとめ
振り向きが難しいのは顔の立体的構造によるところです。
また動きは平面的ではなく、奥に回転するので、難易度が上がります。
デッサン割りは必須ですが時間がかかるので、線割りも上手く併用して行けば、少し楽になります。
中目パチや中セリフも良く振り向きの中に組み込まれるので、ベースとなる位置合わせに出来る仮の絵を先に作ってから閉じ目や開き口を描くと良いでしょう。
難しいですが、これが上手く描けるようになれば一人前の動画マンです!
今回もここまで読んでいただきありがとうございました!


