絵コンテ:カット割りとカメラアングル

絵コンテを描くときの一番悩むのは
・どこで、どのタイミングでカットを切り替えるか
・カメラのアングル
・画角
ではないでしょうか?

同じシナリオでも、10人のコンテマンがいれば、10通りの絵コンテが上がって来るでしょう。
数学と違って、正解というものはありません。

もちろん似たような絵コンテがあるかもしれませんが、全く同じものが上がってくること可能性はほぼないに等しいです。

アニメ制作過程の中が、その話数で一番最初にシナリオを絵で表すのが絵コンテ。とっかかりがないと、経験の少ない若手演出は途方もない感覚に襲われるでしょう。

今回はその悩みを解消するヒントをご紹介したいと思います。

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状況紹介

まずは下記の絵コンテを見てください

◾️状況
・スタート
キッチンにAとBがいて、これから会話が始まります。
・ラスト
Bの前にマグカップが置かれる

今回は説明のために、スタートとラストのコマが最初から決まっているところからやってみたいと思います。

当然、これだけの情報ではこのシーンの意図がわからないので、絵コンテを切るのは難しいです。
では下記の4つのシチュエーションをもとに描いてみましょう。

シチュエーション①

まずは下記の絵コンテを

あえてカットを割らずに、Aがコーヒーを淹れるところからBの前にマグカップを置くところまで、カメラを長回し(長尺)でそのまま映します。

・重要な説明やたわいもない会話などを視聴者に聞いてほしいとき
画面が切り替わらないため、会話に集中できます。芝居するAも引きのままなので、動いている範囲も小さいです。

・シーンの雰囲気の維持
スローペースでテンポが遅く、キャラの表情もハッキリ見えないため、気持ち的に起伏が起きにくいです。
また、流れるBGMによっては緊張感を持たせたまま話を進められます。

最後にAが大きく移動してから、やっとカットが切り替わります。ここから何かが起こるかもというようなメッセージにもなり得ます。
これをうまく利用することで視聴者の感情をコントロールすることができます。

実写と違って、アニメのFIXの長回しはかなり難しい類です。
背景やキャラのディティールが圧倒的に少ないので、画面がもたない恐れがあります。使う場合はうまく処理しないと、ただの長いカットになってしまいます。

でもうまく設計すれば、このような長回しカットはかなり有効的です。

シチュエーション②

次はAを単体で映すカットを入れます

シチュエーション①と違って、ここではAの顔がよく見えます
表情を見せたいとき、Aの話の重要性を上げたいときなどの場面に使います。

顔に寄れば寄るほど表情がよく見えるようになるので、そこはシーンの意図に合わせて調整すれば良いです。
また、今回は少しアオリのアングルにしていますが、そこもAとBの上下関係や力関係に合わせて真横やフカンに変えることもできます。
その辺を詳しく知りたい方は「映像の原則」について調べてみてください。

鈴

こちらのオンラインコースでも詳しく説明します!

すずめ
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3カット目は移動する部分の尺を“盗む”ために、Aが映らないようにします。そうするとAとBとの間の距離を縮めることができます。
具体的には、本来なら、Aがポットを置いてマグカップを持ち上げ、振り返ってBに向かって歩く、という芝居をほとんど省略しています。
それと、コーヒーを置く芝居を入れることによって、Bの前にコーヒーがあっても違和感が出ないようにします。

テンポよく話を進めたいときに、このような切り方をすることでリズムを作ります
セリフが短いときや掛け合いが多い場面に適しています。

シチュエーション③

今度はAがコーヒーを淹れるところではなく、Bを大きく映します

シチュエーション②とは逆で、今度はBの方の表情が見えるようになりました。
先ほどと同様に、話の流れに合わせて画角を変えても良いです。例えばAを画面から完全に外すことで、視聴者にBの方を注目させることができます。

重要なセリフや表情変化、部屋を見回すような芝居などを入れたり、状況に合わせて使い分けます。

鈴

2カット目の構図にはもう一つの狙いがあります。
それはコーヒーを淹れる芝居を丁寧に描かなくても済むことです。こういう日常芝居は作画のカロリーが高いので、体の一部のみで表現するのはテレビアニメによくある手法です。

3カット目はマグカップを置く芝居を見せるカットです。シチュエーション②のようにテーブルのアップに切り替えるのはちょっと苦しいです。
なぜなら2カット目ではテーブルがすでに見えている状態なので、直結で見える場合は距離を誤魔化すのが難しいです。
できないわけではないですが、何もないテーブルを少し長めに映す必要がなりますので、テンポは少し落ちます。
それでも問題ないなら、使ってもOKです。
2カット目でAを完全に外してSEのみでコーヒーを淹れる芝居を表現していれば、次をテーブルのアップにすることも可能です。

で、こちらの3カット目は縦の距離を圧縮することで、1カット目のように歩幅をそこまで気にしなくて済むので、多少“盗み”の効果も兼ねています。

シチュエーション④

そして最後はAの手元をアップに映しています

これはコーヒーを淹れるところをあえて見せることで、色々と狙うことができます。例えば
・淹れ方のこだわり
・手の震えで緊張を伝える
・コーヒーに何かを混ぜる
などと、他のシチュエーションと比べたら、会話よりも動きの芝居が重要であることを示唆できます。

3カット目についてはシチュエーション②と似ていますが、こちらの方がマグカップの中身がよく見えています。
狙いとしては“飲み物”よりも、“どんな飲み物”であることを見せる意図が強いです。
例えばシチュエーション③のように、マグカップの中身が終始見えていなかったので、こういうカットをここで挟むのもいいかもしれませんね。

また、作画の良さのアピールもできます。

まとめ

このように、同じ場面でもシナリオによっては伝えたいことが変わってくるので、それをどのように見せたいかでカットを切り替えたり、アングルを変えたりします。

まずは演出意図を定めて、優先順位を決めて、数ある選択肢の中から有効的な組み合わせを見つけていけばいいです。

・セリフ
・芝居
・雰囲気
・テンポ
・誘導
など、たくさん要素がありますが、徐々に自分の引き出しを増やしていけば、絵コンテも楽しくなってくると思います。

練習したい方はぜひこのシーンにオリジナルのストーリーを作って、絵コンテを描いてみてはいかがでしょうか?

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!