どうも、鈴です。
今日はアニメの基本の動きの中の一つ「走り」について解説していきたいと思います。
まず、アニメの基本的な動きと言えば
・歩き
・走り
・振り向き
の3つです。
歩きはこの中では一番簡単です。原画の間の中間の絵を描いてしまえば後はほぼ線割りで描けてしまいます。もちろんそんな簡単なものではないですが、大きく外れることはないでしょう。
※線割りとは前後の絵の同じパーツの線を、中間で割る手法です。あまり考える必要がない、一般的な中割りのやり方。
振り向きはデッサン割りが出来ないと難しいですが、動きの軌道としてはあまり変化がないです。頑張って立体感を意識しつつ描いてください(笑)
それでも基本的に線割りできるところが多いです。
そして走りですね。原画の線割りは基本的に出来ないのです。ある程度のルールに沿って描かないとぎこちない走りになります。

今回はこちらの素材を使って説明します。
原画
普通のその場の走りのリピートの場合、原画は2枚が必要です。
一つ目は

2つ目は

これが一番多く見られるパターンです。前に出ている足が地面に着いています。

ポイントは地面に着いているのは踵の方です。そして膝はあまりまっすぐにしない方が自然です。
※ぱぱっと描いてしまったため後から後ろ足が後ろに引きすぎていると判明。見直しって大事ですね(^_^;)

今回はリピートなので原画は2枚で済みます。
リピートであることが分かるように、どの原画にループしていくかを書いています
「A①へリピート」
そして走りの中割り指示として矢印を描きます。
沈み込みと蹴り上げの絵は基本的に必須なので、最低限中割りは2枚ですが、
3枚ある場合は残りの1枚をどこに入れて欲しいかを軌道の矢印に指示を入れます。
中割り
次は動画、中割りの方の説明に入りたいと思います。
今回は中割り3枚、上の方に詰める場合で解説します。
1枚目:まずは沈み込み

文字通り沈み込むので、膝は曲がり、頭の頂点は原画より低い位置にあります。
2枚目:そこからの蹴り上げ

曲がっていた足が地面を蹴り、前へと押し進みます。
3枚目:上の方で詰めるので原画②までの滞空の絵となります

見た目は原画②に近いです。この後は原画の②となり、さらに反対足の3枚の中割りが入り、原画①へとループします。
ポーズは同じで、手足が逆にするだけで出来上がります。
ではそれぞれの中割りのポイントを見ていきましょう。
1枚目

地面に着いている足の位置は前後の絵の足の位置のちょうど真ん中になるように調整。
2枚目

蹴り上げは力が一番入るポイントなので、蹴る足はまっすぐに伸ばすと、勢いが出ます。腕と太ももも一番上に上がっている状態です。
スピード感を出したいなら、前の足の角度を少し変えるだけで、力が入っているように表現出来ます。
3枚目

空中の絵なので、当然どこも地面に触れている部分はないです。この中割りは単純に真ん中ではなく、次につく足を少し前の方に出しています。前に出せば出すほどスピード感が増します。
下で詰める場合、空中の絵ではなく、原画と沈み込みの間に中割りを入れます。

改めて見るだいぶ間抜けなポーズですね(笑)

ポイントは、地面に足が着いている絵が4枚に増えますので、足の動く距離が上に詰める時のと違い、少し短くなります。これでスピードが変わるワケです。

タイムシート
参考にタイムシートの書き方もします。
タイムシートは動画マンへの指示書です。どれが原画、どれが中割りで何枚が必要かを書きます。
また、撮影の方にもどのタイミングで撮るかの指示にもなります。

※分かりやすくするため、色付きで書いています
左が原画、右が動画です。3パターンを紹介します。
アニメ業界の人は良く歩きと走りを「何コマ、中何枚」みたいな感じで言ったりします。それはどういう意味なのか説明します。

「3コマ」「2コマ」とはそれぞれの絵をどのくらい表示する尺のことを言います。
3コマまたは3コマ打ちは1枚の絵を3コマ間ずつ表示させます。
普通はずっと同じコマ数を保ったままやりますが、時に変則的に2コマと3コマ、稀に1コマ、4コマなど混ぜることもあります。
「中3枚」「中2枚」とは原画と原画の間に中割りを3枚、2枚入れてください、ということです。
動画欄を見れば中割り枚数が違えば、最終的に動画枚数も変わってきます。
中3枚は8枚に対して、中2枚は6枚です。
日本のアニメは1秒間に24コマの絵が切り替わっていきますが、フルに24コマ(フル・アニメーション)全部違う絵にすることはあまりないです。テレビシリーズはほとんどの場合、1枚の絵を3コマ間表示させて、節約しています。
通常24枚必要なところ、24÷3の8枚で済みます。
これをリミテッド・アニメーションと言います。
どんな感じに違うのかはこちらをみて比べてみてください。ちょっとコマ数を調整するだけで印象がだいぶ違うことが分かるかと思います。
まとめ
必要最低限の絵として、着地・沈み・蹴り、の3ポーズがないと、走りに見えないと思います。
失敗例:



必要な絵がなかったり、または順番が違うと走りが成立しなくなりますので、是非正しい走りを覚えましょう!
走りはアニメーターの基本中の基本ですが、最近はそれが描けていないのを多く見かけます。
おそらく動画マンの経験がないまま原画をやっているので、どういう絵が必要かが分からないみたいです。
それなのに、最近の流行りとして、動画マンが信用できないので、走りの全部の絵を参考として原画マンに要求することも増えています。
出来れば動画マンの仕事は動画マンに任せるべきだと思います。
今回もここまで読んでいただき、ありがとうございました!

