作画の基本となるレイアウトはどのように逆算を駆使して描いていけばいいかを紹介したいと思います。
駆け出しの原画マンの多くは深く考えずに、自身の画力を頼りにいきなり描いてしまっていますが、それがかなり非効率的で、かつまとまりのない画面になってしまうことにつながることが多いです。
テレビシリーズはとくにスケジュールがないため、なるべく効率よく描いたほうが良いですし、その方が稼げてアニメ業界に生き残りやすくなります。
まずは描くことを一旦我慢して、絵コンテと設定をよくみて、頭の中でイメージして先に何を描くか決めるのが重要です。
先ずは絵コンテの読み込み
例えば絵コンテでこのようなコマがあるとします

いきなり絵を描きたくなると思いますが、
その前に、まず状況整理をしましょう。
もちろん今回は一コマしか載せていないのでアレですが、把握しておきたいことを見て行きましょう。
・AとBは止まっている?歩いている? ・Aの手は最初から振っている?それとも上げる必要がある? ・今の立ち位置 ・このCUTのやりたいことは何?
基本的にシーンのワンカットなので、絵コンテの前後の絵を見れば分かります。

誰でもわかるわ!
そう言っているのが聞こえてくる。その通りです。普通なら誰でも出来ると思います。
でも、なんと不思議なことでしょう、前後の合わせが出来ていない人が多いんです。
盛っていませんよ。びっくりするほど良く見かけます。前のCUTで歩いていたのに、次のCUTいきなり止まっている。
絵コンテに書いているなら問題ありませんが、書かれてないこともしばしば。
本来なら作打ちの時決めますが、見落としなのかわかりませんが、出来てない時があります。
なので、こういう時はちゃんとどちらのCUTで立ち止まりを入れた方がいいでしょう。それを決まる。
被写体を決める
確認が終わったらいよいよ描く過程に移ります。
まずはどこから描きますか?背景?人物?パース線?
このCUTのやりたいこと、覚えていますか?描く前の段階で決めたはずです。
キャラを見せたいのか、背景をメインに見せたいのか、状況を見せたいのかにより変わります。
写真と同じです。
・ここに来ました! ・この人と居ました! ・ここ綺麗でしょう! ・事件だ!
などなど、テーマは色々あります。
それぞれ物語の主役が違うので、その主役となる被写体をどこに、どのくらいのサイズ、どんなポーズにするか決めましょう。
もちろん絵コンテを基に描くと思いますが、絵コンテが描かれた時から設定が変わったり、対比がおかしかったりするので、実際にレイアウトを起こす際はそれらを確認しつつ作業します。
描く手順
今回は2人の出会いをメインにしてみましょう。
では注目して欲しいのは人物AとBの2人です。なら2人を最初に描いてしまおう。
この時、描き手は役者として芝居を考えつつ、カメラマンとして画角などを決めなくてはいけないです。
どんな構図がこのシーンに相応しいか、決めます。
最初はよく解らないかもしれませんが、色んな作品を見て、自分のセンスを磨くといいでしょう。
自分の場合は写真の撮り方について書かれた本を読んで知識を得ました。フレームの比率(アスペクト比)が違うのですが、根本的な考え方は応用できるかなと思います。

当時は今の16:9ではなく4:3が規格だったので写真に近かったです
やはり名画とされる作品から学ぶのが効率がいいと思います。
基礎がちゃんと出来てからこそ応用ができるのです

最初はメインとなる2人を大まかに描きます。
次に背景を描いて行きます。
この順番で描けば、カメラでいうレンズのmmが自然と決まってきます。
どういうこと?って思いますよね?
これについてはまた別の機会に、パース、画角の自己解釈を触れてみたいと思いますので、今回は割愛します。
簡単に言えば、メインの被写体を先に決めておけば、その他の物、背景含めての位置関係が決まります。
例えると、スタートとゴールラインの位置を決めておけばその間の距離が決まる。
あとは流れで間の絵を補完していけばレイアウトの出来上がり。
まず、消失点及びアイレベルを決めます。

今回は分かりやすくするため、AとBは同じ身長と体格とします
同じ身長と体格の場合、それぞれ同じ点を通る線を2本引きます。
下記の画像で言うと、①と②です。

出来れば全身を使ってやった方が誤差が小さくなります。
今回はわかりやすくするため頭を基準に使っています。
今サイズなら頭のテッペンと腰あたりを使うと良いでしょう。

この①と②が交わるところが消失点(VP①)となります。また、アイレベルはこの消失点から割り出します。
そこから2人の距離を落とし込めば、他の物が描きやすくなります。
他に同じ身長と体格の人はアイレベルを使って、消失点(VP②)を作れば人物Cのサイズは簡単に割り出せます。

身長が違う場合の割り出し方はまた別の機会で解説します

人物Cは居なくても、仮置きで描いておけば、周りとの対比として使えば、建物や木の高さが分かりやすくなります。

実はこの人物の仮置きはかなり便利なスキルなので、覚えておくといいでしょう
動きがある場合
アニメなので、当然動きがあります。動きがあれば、必然的にカメラも動く必要が生まれます。
次はキャラ、もしくは物体が動いていれば、画面の構図をどうあわせるか、見ていきましょう。
例えば上の例のように、AとBがいて、同じCUT内にBがAに近づいていって、少しおしゃべりをするとします

Bが移動したことによって、画面の左側がぽっかり空いてしまいました。
解消法はいくつかあります
・すぐ次のCUTに切り替える ・最終立ち位置をベースにスタートのフレーミングを右に寄せる ・動きに合わせて右にPANする ・歩くキャラに合わせてカメラも寄って行く(TU)
どれが1番適切かは前後関係を知る必要があります。もちろん好みもあります(笑)
基本的に尺的に長く留まる方に合わせるのが無難だと思います。

普通は絵コンテですでに決まっているはずですが、描き忘れや設定の変更などで追加することもありますので、ケイスバイケイスです
応用
人物と人物の基本を応用すれば、人物と背景、ランドマークにも適用できます。
良くあるピザの斜塔を支える構図も、手前の人物と塔のサイズが決まれば、
間の絵を補完出来ます。多分めちゃくちゃ離れないといけないんですけどね。

そして、先に背景を描く場合です。
もちろんメインとなる被写体を決めて、画面の配置など決めておけば、あとは周りを描き込む。
人物とかモノと違って、あまり移動して変えられることが出来ないので、
例えば、建物を真ん中に置く、もしくは左右のフレーム内にここからあそこまで収めたいなど。ちょっと技術とセンスも問われるかもですが。

パースに関してもっと詳しく勉強したいのであれば、下記の本をオススメします。風景と書いていますが、パースがかなり詳しく解説されているので、興味ある方は是非一読してみてはいかがでしょうか
まとめ
このように、被写体の配置を先に決めてしまえば、画面は破綻しなくなり、作業もスムーズになると思います。
理屈さえ分かれば、後は何回か描いてみれば身につくでしょう。
人物がメインになることが多いアニメで、先にパースと背景を描いてしまうと、キャラはそれらに合わせて描かなければならなくなります。
なので、逆にキャラを先に描いた方が画面が映えます。
背景が重要じゃないと言いたい訳ではありません。ただバックグラウンドとしての役割なので、一歩下がってキャラを優先させるためには先にキャラを描くのがベストでしょう。
もちろんこれは演出としても重要なスキルなので、是非覚えてください!
今回はここまで。ではまた!

